名市大は学歴フィルターに通る?
先週、マイナビの『大東亜以下⑨』というメールの事件が起こり、「学歴フィルター」というものについて最近注目されるようになりました。本来はこのテーマだけで社会学の討論を長々とできそうなものですが、現在就活をしている身としてはそんなことはおいておいて、今自分に学歴がどんな影響を及ぼすのかを知りたいもの。
というわけで、『名市大は学歴フィルターに通るのか』、そもそも『学歴フィルターはあるのか』を討論するために3人の論客に来てもらいました。
【先攻:学歴フィルターはある派 Dちゃん】
「わざわざいう必要もないと思いますが、学歴フィルターはあります。これはもう明確な事実です。五大〇〇〇〇、外資〇〇〇〇〇〇、〇〇〇〇〇〇などで、一定以下の学歴は説明会に応募しようとしても『満席』と表示されて排除されることが当たり前のように横行しています。一般的に名市大が高学歴に分類されていることは私も把握していますしそこに疑問はありませんが、最上位の一流企業を目指す戦いをするなら『名古屋市立大学』の看板では明らかに力不足です。まあ名市大の学生なんてだいたい地元のしょうもない企業で満足するチンカスばかりなので学歴フィルターを自覚することは少ないでしょうが、あるものはあります。」
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「学歴と就職先の強さに相関があるのはいろんな過去のデータで明らかです。超一流企業の採用大学を見れば、明らかに高学歴に偏っていることがわかるでしょう。まあ、一流企業には採用大学を公開していないケースも多いですけどね。もちろん、多少劣った学歴でも不相応な一流企業に内定を獲得するケースは数多くあります。しかし、一部の優秀で運のよい例外パターンを見てそれが自分にも当てはまると考えるバカも少なくありません。自分が名市大の中でどれくらい優秀な学生なのか。名市大生は大体どれくらいのレベル帯の企業に行くのか。それを正確に分析して把握しておくことが肝要です。東洋経済新聞が発表している『有名企業への就活に強い大学ランキング』では、名市大は73位。多くの一流大学と比べると明確に劣っています。学歴フィルターはある。名市大は一応高学歴ではあるものの一流企業のフィルターをくぐれるほどの力はない。この現実を把握せず、能力も低い人間が一流企業を受けても、ほぼ失敗するでしょう。」
「……なんか今回の議論ヤバいね。」
「前回の記事より『もっと過激にやっていい』って言われたかららしいよ。」
【後攻:学歴フィルターはない派 B君】
「あながち間違ったことを言ってるわけではないが、少々極論が過ぎるな……。学歴は所詮入り口の話に過ぎない。優秀でかつ運のよい学生が学歴フィルターをくぐりぬけ第一志望を射止める例は多い。個人的な話で申し訳ないが、〇〇大学から〇〇〇〇本総合職、キー局に内定した知り合いがいる。大学のレベルから考えるとこれは相当すごいだろう。君はそれを『例外的なケース』とひとまとめにしているだろうが、それは危険な思考でもある。ただでさえ名市大生は地元志向の学生が多く、悪い意味で受ける企業の範囲を狭めてしまう学生が多い。そして実際エンカレメンバーにも「もうちょっとレベル高い企業に挑戦してみてもよかったな」と述懐している者もいる。学歴フィルターという実態の見えない不安材料にかき乱されるエンターの背中を押し、可能性を広げるために挑戦させる。そしてそこで勝つために最大限の支援をする。それが俺たちがとるべきスタンスじゃないのか?」
【バトルタイム】
「論点がおかしいですね。私は学歴フィルターの存在の有無について具体的なケースを基に考えているのであって、私たちのスタンスがどうこうの話をしているわけではありません。その理想論チックな論理展開は、学歴フィルターはあるということを肯定しているが故の話なのでしょうか?」
「それは失敬。俺はただ、君の話があまりにも局地的すぎるという指摘をしたいだけだ。君の言う『一流企業』とやらで、学歴によって得られる機会の差が生じているケースは事実なんだろう。だが、日本にある大半の企業はそうでないケースの方が圧倒的に多い。実際にエンカレメンバーの中でも、学歴による有利不利を特に感じなかったという人の方が圧倒的に多かった。(聞きました)就職活動と言うのは最終的にはエントリーシートと面接。そこからあぶりだされる人間的魅力だ。カタログスペックに固執するのは、実際の就職活動の現場をみえていない考えと言える。」
「つまりそれは、エンカレにはちゃんと自分の分をわきまえて学歴フィルターのほぼない企業ばかりを受けた人が多かったということですね。」
「いちいち言葉にとげがあるなあ。」
「そもそも、みんなが学歴フィルターを感じなかったからといっても、裏では影響を受けていた可能性は多分にあります。たとえば名市大生は地元に行く傾向が強いために、多くの地元企業にOBOGを抱えています。その環境の中では名市大生が優遇されている可能性も否定できません。これは学歴フィルターで排除されるのではなく、有利になる逆パターンの話ですね。愚かなみなさんは自分の努力で内定を勝ち取ったと考えているかもしれませんが、実は名市大の看板に助けられていたという可能性もあるのでは? 」
「ぎくっ」
「俺はそれもほぼないと思っている。地元企業だろうが何だろうが、自己分析がガタガタで企業分析も中途半端なら100パー落ちる。そこに学歴なんて関係ない。名市大はまあまあ学歴があるから地元の中堅企業くらいは簡単に受からないかな…? なんて考えこそ俺がもっとも忌避する考えだ。実際に滑り止めと称して地元企業を受けまくった名市大生は多いだろう。そして結果はどうだ? なんだかんだ落ちた企業の方が大半のはずだ。学歴が選考に影響するなんてのは100の評価が101になるか99になるかくらいの話であって、それだけで戦局を左右する要因にはなりえない。君は先ほど俺の話を理想論チックといったが、俺からしたらとんでもない。結局は自分の人間性と表現力で戦わなければいけないという、就職活動の実態をとなえる冷徹な現実主義のつもりだ。これが人によっては希望となり、人によっては絶望となるだろう。」
「なるほど。では数値的に表れている結果についてはどうお考えですか? 学歴が高いほど一流企業にいくというのは明らかな傾向として成り立っています。もちろん学歴以外の様々な要因も合わさってこの結果になっていることは否定しません。しかし、事実として相関関係はあります。」
「例の東洋経済のランキングね……。悪いんだけど俺はそもそも『一流企業』っていう言葉がだいだいだいっきらいです。」
「ほう?」
「その記事では『一流企業』の定義として以下の指標を使っていると述べている。」
400社は、日経平均株価指数の採用銘柄や会社規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選定。
「TOPIXとか日経225とかの日系上場企業の中でも有名な企業群に、非上場の大企業、最近ホットなベンチャー、外資系の有名な企業とかをいろいろ混ぜて400社を選出したんだろうな。たぶん本当に一流だし有名な企業のラインナップになってるだろう。」
「そうでしょうね。普通に参考としてどの企業を選出したのか気になるところです。」
「気に食わないな。」
「はい?」
「こういうランキング的なヤツは、日本の産業におけるごくごく一部の企業を抜き出したに過ぎないからだ。これに載っていない優秀な企業だってたくさんあるだろう。というかその方が多いだろう。特にこのランキングには関東本社の大企業がのりがちだ。東海圏の良い企業はほとんど選ばれていない。これは日経225を見ればわかる。東京の大企業を礼賛するこのランキングの尺度では、名市大のランクが低くてもしょうがない。だって、不利なフィールドで戦っているんだからな。」
「あとついでに、名市大はこういうランキングで上位に行きにくい構造の大学だとも思う。名市大の属性を分解したらこんな感じだろう。」
「いっこずつ論ずるのはめんどいので今回はしないが、名市大は一般的な一流企業に行くケースは少ない。俺はそれについては良いとも悪いとも思わない。そういう構造にあるからだ。それよりも、一流企業に行けば勝ち組、みたいな謎の競争意識が大嫌いだ。企業をブランドで捉えるような考え方がそもそもの問題の根っこなんだ。そんな幼稚な考え方をしているだから、そりゃ企業だって学生を大学ブランドで選ぶ。どっちもどっちだ。」
「へえ、それのどこが悪いのか私にはわかりかねますね。結局のところ大半の学生は一流企業を……。
「話がだいぶ脱線していきそうなので今日はここで終了します!!」
「なんだ残念。ここからが楽しそうだったのに。」
「二人とも思想丸出しのとんでもない論争で見てる側は非常にひやひやしました。どっちの言ってることもあってるようで、でもどっちの言ってることも相反するってのが難しいところですなあ。」
「これについては、たかが学生で就職市場のプレイヤーでしかない俺たちには分かりっこない事の方が多い。みんなも自分の立場で学歴について考えてみることが大事だろうな。」
「というわけで今回はここで終了。次回のテーマは『内定キープ、内定辞退、オワハラ』についてのバトルです。お楽しみに。」